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未然に防ごう、食中毒。

少し前のテレビで、芸能人の食中毒のニュースが頻繁に流れているのを目にしました。

食中毒の原因は「アニサキス」という寄生虫の感染。厚生労働省の統計によると、2007年は6件だった報告件数は2016年には20倍以上の124件に増えていて、食中毒の原因物質としてはノロウイルス・カンピロバクター菌に次いで3番目に多いそうです。

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これからの季節、高温多湿で食べ物も傷みやすく、体調も崩しやすいために免疫力も低下しがち。

そこで今回は、アニサキスの他にも食中毒を起こす原因物質と予防の注意点について、まとめてみました。

ぜひ、参考にしてみてください。

食中毒とは?

食中毒とは、食べ物や飲み物を原因として、嘔吐・腹痛・下痢などを起こすことをいいます。

原因となる食べ物や飲み物は腐敗とは違って、味も臭いも変化がないので気づきにくいという特徴があります。

食品に細菌やウィルス、それらが作る毒素、化学物質(ヒ素など)、自然毒(フグやキノコ類など)が混入していると食中毒が起こります。

その中でも微生物(細菌やウィルス)による食中毒が大半を占めています。

食中毒の原因になる細菌などは高温多湿を好むので、湿気の多い暑い時期に発生しやすくなります。

食品が腐っていた時に食中毒になると思う人が多いと思いますが、実際には、腐っていても食中毒の細菌やウィルスがついていなければ食中毒にはならず、腐っていないものでもそれらが付着していたら食中毒になります。

細菌性食中毒の種類

先程、微生物(細菌やウィルス)による食中毒が大半を占めるといいましたが、その特徴を押さえておきたいと思います。

細菌性食中毒(細菌やウィルス)は「感染型」「毒素型」に分けられ、それぞれで潜伏期間に違いがあります。

「感染型」

食中毒菌が増殖した食品を摂取することで発症する食中毒です。

体内に侵入した菌が腸管内の粘膜を冒すことで起こります。

代表的な菌に「サルモネラ菌」「病原性大腸菌」「リステリア菌」などがあります。

魚介類や食肉、鶏卵などに増殖しやすいので、生食は要注意です。

「毒素型」

食品内で増えた菌が毒素を出し、それを摂取することで発症する食中毒です。

代表的な菌に「黄色ブドウ球菌」「ボツリヌス菌」などがあります。

食品を加熱することで殺菌はできていても、熱に強い毒素が食品内に残ると食中毒が起こることがあります。

主な菌の潜伏期間

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食中毒の対処法

食中毒になった場合、多くは嘔吐や下痢の症状のために脱水症状を起こします。

脱水をひどくしないために水分とカリウムなどの電解質をしっかりと補給し、口から食事が出来る場合は、胃や腸に負担のかからないものを少しずつ摂るようにしましょう。

具体的には、スポーツ飲料を飲んで、電解質の補給のためにバナナを一緒に食べるのがいいでしょう。

吐き気や嘔吐がある場合は、吐いた物で気管を詰まらせないようにします。

特に寝ている時は体を横向きに寝かせるなど、姿勢に気を付けることが大切です。

食中毒を起こして家で様子を見る場合、特にお子さんの場合は、市販薬などを自己判断で飲ませるのは危険です。出来る限りすぐ病院を受診するようにしましょう。

その際、嘔吐物を袋に入れて持参すると、原因究明に役立つことがありますので、事前に受診する医療機関に確認するといいでしょう。

市販薬で利用しがちなものに「下痢止め」がありますが、下痢止め剤の成分は、腸の活発な動きを抑えるもの、腸内の細菌を殺菌するもの、腸の害になる物質を吸着するもの、荒れた腸の粘膜を保護するものなどさまざまなので、症状に合わない薬を服用すると逆効果になることがあります。

例えば、食中毒を引き起こしている有害物質を腸から排出したいときには、腸の活動を抑える成分が入った下剤は、逆に腸内の原因菌を閉じ込めてしまい更に悪化させることもあります。

また、次のような症状があるときは、すぐに医師の診断を受けましょう。

① 嘔吐で水分を充分に取ることが出来ない場合

② 水のような酷い下痢が治まらず、脱水症状になることが予想される場合

③ 腹痛や嘔吐が強く、口から物が食べられない場合

④ 血便がある場合

⑤ 高熱の場合

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アニサキス

最近話題になっている「アニサキス」の対処法ですが、アニサキスは回虫の仲間で、成虫はクジラやイルカの胃に寄生しています。幼虫はイカ類やサバ、アジ、イワシなどの内臓表面や筋肉内に寄生していて、市販のサバなどでも内臓(肝臓)の表面に幼虫がとぐろを巻いているのが見えることがあります。

人間はこれらを生食して感染し、長さ2〜3cmの幼虫がヒトの胃壁や腸壁にもぐり込んで症状を引き起こします。「胃アニサキス症」と「腸アニサキス症」があります。

アニサキス症は比較的寒い時期に多く発生します。

新鮮な海産魚類を食べて3〜4時間後に、突然、激しい腹痛、吐き気・嘔吐が襲います。半日以上から、長い時は1週間くらいたって腹痛に見舞われることもあり、この時は胃ではなく腸に虫が侵入していると考えられます。

一部の人には、じんま疹のような発疹やかゆみが現れることがあり、アニサキスに対するアレルギー反応だと考えられています。

胃アニサキス症の場合、内視鏡で虫をつまみ出した瞬間、嘘のように痛みが消えます。もっとも、アニサキスは人体中では1週間程度で死んでしまうので、虫を摘出できなくても対症療法だけで治ります。

ただし、虫が腸管から外に出て症状を起こしているなら、駆虫薬(くちゅうやく:メベンダゾール)を内服します。

発症はたいてい夜中です。新鮮な海産魚類を食べて3〜4時間後に急におなかが痛くなったら、消化器内科専門の医院か消化器内科の医師のいるような総合病院を受診してください。

重症になると、緊急を要するほかの病気とすぐには区別できないため、内視鏡専門医と消化器外科医のいる総合病院の受診が望まれます。

食中毒の予防法

食中毒の予防法としてまずはじめに思いつくのは、食品を加熱することだと思いますが、菌によって有効な場合と、そうでない場合があります。

加熱による予防が出来る菌

ボツリヌス菌・ウェルシュ菌・腸炎ビブリオ・サルモネラ菌・大腸菌

加熱による予防が出来ない菌

ブドウ球菌・フグ毒・毒キノコ

加熱によって予防できる菌は多いですが、「ブドウ球菌」だけは加熱による予防が出来ません。

ブドウ球菌は健康な人の皮膚などにも存在しますが、特に調理する人の手に傷や湿疹があって傷口が化膿している場合は、食品を汚染する可能性が高くなります。

このような場合には、できるだけ調理は避けましょう。

これ以外には

◆ 調理する人はしっかりと手を洗い殺菌する。

◆ 食品の保存は低温保存する。

◆ 調理器具の洗浄殺菌をしっかりと行う。

◆ 調理後は出来るだけ早く食べる。

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に気を付ければ大丈夫です。

夏場は作り置きなどは避ける方がいいですね。

ブドウ球菌の食中毒が多い食品には、

・牛乳などの乳製品

・卵製品

・肉やハムなど加工品

・穀類とその加工品

 (おにぎりやお弁当)

・ちくわやかまぼこ

・洋菓子

などのように、調理する時に素手で扱うものが原因となるものが多いようです。

お弁当などは細心の注意を払わなければいけません。

・おにぎりなどは、ラップを使うなどして直にご飯に触れないで握るのがいいです。

・おかずが冷めないうちに弁当箱に蓋をしてしまうと、湿気がこもり菌が繁殖しやすくなるので、しっかり冷ましてから蓋を閉めることも大切です。

・保冷剤などを活用して、弁当箱を出来るだけ低温に保つことも有効なので積極的に活用しましょう。

アニサキスの予防法

アニサキスで食中毒を起こさないためには、次の3つがポイントです。

① アニサキスがいる魚種を知る

わざわざリスクを侵さない、ということですね。どうしても食べたいときは、リスクを承知の上で、ということで。。。

・タラ ・サバ ・アジ ・サンマ ・イカ ・サーモン ・サケ ・ホッケ

② 鮮度のいい魚を食べる

アニサキスは宿主の魚が死んでも数日間は生きています。宿主が生きているときは、基本的に内臓にいるのですが、死ぬと身の部分にまで移動してくることが多いです。その状態のものを口にすると、感染リスクが高まります。鮮度のいいうちに内臓を取り除けば、リスクを下げることができます。

③ 冷凍または加熱する

マイナス20度以下で24時間、または60度程度の温度で数分加熱することによって、アニサキスは死滅します。

ちなみに、酢や塩、醤油などではアニサキスは死なないので、ご注意を。

どうしても生の刺身などを食べたいという方は、内臓に近い部分の身は大きめに取り除き、目による確認をしっかりすること、です。

また、アニサキスは体の一部を傷つけられるとすぐに死ぬので、隠し包丁や飾り切りなど、いつもより多めに包丁を入れることで予防になります。

食中毒は、正しい知識を持つことで充分に防げるので、ご自身はもちろんですが、ご家族や周りの方とも情報を共有して、未然に防ぎましょう。

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